公共メディアのシビックテックイベント
一般社団法人コード・フォー・ジャパン(Code for Japan、代表:関治之)は、2023年6月25日(日)に、NHK札幌放送局主催、Code for Japan協力で「NHKアイデアソン in 北海道」を開催しました。北海道内の4つの高専から学生さんをはじめ、札幌局の番組「ローカルフレンズ」からのゲストスピーカー、メディア関係者、大学生、行政職員、エンジニア、デザイナーなどが札幌局内スタジオに集まり、地域の人のインプットトークとNHKから共有されたデータや取材情報などを元に、10チームがそれぞれ取り上げた課題に対するアイデアを発表していきました。
ゲストスピーカー
地域にディープな人脈を持つ「ローカルフレンズ」のもとにディレクターが1か月滞在し、地域の宝を見つけるという「ほっとニュース北海道」の中で地域について発信しているローカルフレンズ(https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-naf4a2ddd2820 )から広尾町の保志 弘一さん、下川町の谷山 嘉奈美さん、喜茂別町の加藤 朝彦さんにお越しいただきました。また、Code for Sapporoとして「さっぽろ保育園マップ」や「ひぐまっぷ」などGISを用いたシビックテックプロジェクトを複数推進してきた古川 泰人さんに、これまでの北海道の地域と自分たちのアクション、これからを見据えて考えていることなどをシェアしていただきました。
下川町の谷山嘉奈美さん(a.k.aかなりあついさん)からは、気温差60度にもなる下川町のSDGsに対するアプローチ方法(https://www.town.shimokawa.hokkaido.jp/section/kankyoumirai/sdgs/)などについてお話しいただき、またご自身ががんサバイバーとして、また保健師として健康や食をテーマにジビエやサウナ、白樺ヴィヒタなどの取り組みについて教えていただきました。(下川町・谷山さん: https://www.nhk.or.jp/hokkaido/localfriends/archives/230209/ )
続いて、喜茂別町の加藤朝彦さんからは、双子羊蹄で有名な喜茂別町が交通網として人々が通るけれど通過されるだけで立ち止まってもらえないことや、中学卒業後の進学で多くの若者が外に出てしまうことなどを紹介いただきました。またその中でスタートアップや移住相談、シェアスペースなどを繋ぎながら仕組みづくりをしていることを共有いただきました。(喜茂別町・加藤さん:https://www.nhk.or.jp/hokkaido/localfriends/archives/210520/ )
最後に、広尾町の保志弘一さんからは、車を走らせてもかなり遠くアクセスが難しい広尾町のサンタランドや鮭・昆布漁、農山漁村ホームステイなどについて紹介いただきながら、ご自身の昆布漁上達のためにGPSを駆使したり、海外展開に向けて商品開発に取り組んだり、アグレッシブにチャレンジしていることをお話しいただきました。(広尾町・保志さん:https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n7f4968083a13 )
パネルトーク
御三方の地域についての説明と、地域に紐づいた活動の共有を受けたのち、パネラーとして、ゲストに株式会社MIERUNE・酪農学園大学特任講師の古川泰人氏を迎え、デジタルが身近になる現代においては建設的な活動とそれらを楽しみながら変化していくことが大切であること、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンさんがキーワードとして挙げている「3つのF(Fast 速さ・Fair 公平さ・Fun 楽しさ)」がヒントになるのではないかという投げかけからパネルトークを行いました。ローカルフレンズの皆さんの視点でみるインターネット・IT、地域での技術の浸透度合いなどについても話していただきながら、「人口減」という共通する事柄に対して、「人口増」を目指すのではなく、現状を捉えた上での「暮らし」や「まち」の持続性、そこで暮らす人々とまちを繋げること、その中で育まれていくシビックプライドなどについての考えやアクションを共有いただきました。
ワークショップ
後半は、NHKの事務局からアイデア出しの参考になるデータカタログの共有があり、トーク内容とデータ材料を組み合わせながら、「もし、自分がローカルフレンズの〇〇さんだったら、こんなツールを発明します!」というローカルフレンズに憑依しつつ、エンジニアやデザイナー、発明家的に発案する立場になったたつもりで曼荼羅チャート(マス目が展開されていくキーワード記入シート)に連想ゲームをしながらアイデアを出していく個人ワークを行い、その後テーブル毎に自分のアイデアや考えを共有しながら1つの企画にまとめていくグループワークを行いました。参加者は高校生・高専生・大学生・社会人の混合グループに分かれており、それぞれのアイデアやキーワードの背景について質問したり、他の人の意見に乗せて発想を展開したり、分離と融合を繰り返しながら企画が練られていきました。
企画案共有
最後の企画発表では、グループ毎に提案する企画の紹介として、保志さんの「昆布漁」に対して、昆布漁師の職業寿命を延ばせる「ロボットアーム」や新規参入の漁師さんも仕事ができるようにするための「データ分析」などの活用を提案するアイデア、喜茂別町の「通過されてしまう」という課題に対して、立ち寄ってもらえるようにするための「寄り道ゲーム」の企画、谷山さんの「移動式サウナ」に対して、「遠隔のオンライン健康診断機能」を付け加える提案などが発表されました。
これまでオンラインのみで教育編・防災編とハッカソンを2年続けて開催してきましたが、今回は初めて地域局に出向き、またエンジニアやデザイナーなどITに特化したスキルではない人にも参加しやすい「アイデアソン」にアレンジしての開催となりました。
高専生や大学生の中には学校に企画案を持ち帰り、開発フェーズに向けて検討していくチームもあるとのことなので、今後もCode for Japanが学生向けに夏季休暇期間に開催している「Civictech Challenge Cup U-22」や、毎月開催しているプロジェクト持ち込み型ハッカソン「ソーシャルハックデー」、またSlcakのコミュニティワークプレイス内プロジェクトチャネルなどで継続するプロジェクトをサポートしていきます。
- シビックテックプロジェクト・ソーシャルハックデー」:https://www.code4japan.org/activity/civictech
- NHKハッカソン2021年度レポート:https://www.code4japan.org/news/nhkhackathon2021
- NHKハッカソン2022年度レポート:https://www.code4japan.org/news/nhkhackathon2022