共創リーダーシップ現役行政職員が切り拓く組織や立場を越えた挑戦

2024.10.18 | スタッフ

notion image

——自己紹介をお願いします。

小島(こじま)です。Code for Japan(以下、CfJ)では「こじこじ」と呼ばれています。私は2013年に神奈川県の小田原市役所に入庁し、最初は福祉健康部福祉政策課で生活保護のケースワーカー業務に6年ほど従事していました。その後、経済部産業政策課に配属となり、中小企業向けの支援や起業支援をメインに担当しました。コロナ禍では、事業者向けの緊急経済対策や起業支援に加え、起業家や事業者を中心とした新たな拠点・コミュニティづくりの新規事業を担当しました。
notion image
 
2023年4月からはCfJの共創リーダーシッププログラムにより、小田原市から派遣という形で、CfJで仕事をしています。今回の派遣では、少しトライアル的な働き方をしており、行政の業務とCfJの業務を兼務しています。週の大半はリモートワークで、週1回程度で庁舎に出勤しています。

——なぜ小田原市で働こうと思ったのか教えてください。

就職活動開始当初は「自治体で働く」という選択肢は全く想像していませんでした。小田原はもともと地元であったわけでもなく、友人に誘われて合同説明会に参加し、流れで受けてみたと言うのが正直なところです。当時の小田原市は行政にしては珍しく公務員試験がなく、面接重視の採用試験方式を取っていました。近年もオンライン配信による採用説明会、各部署のPR合戦などユニークな取り組みが人事担当課で行われています。
話を戻しまして、私に関しては、自治体職員になってから、市民サービスやまちづくりをはじめ、さまざまな業務に携わり、多くの人の生活に直結する仕事ができることにやりがいを感じていますと補足しておきます。笑

——どのような流れでCfJに入ることが決まったのですか?

小田原市からデジタル庁に出向してる職員がいて、その繋がりでCfJの共創リーダーシッププログラムの情報をキャッチして、小田原市としてこのプログラムに参画しようという流れになったと聞いています。自治体では、省庁や民間企業に一定期間、派遣や出向することはよくあります。ただ、今回のように小田原市の業務をやりながら、派遣・出向先の業務もやるという両立のスタイルは小田原市では初めてですし、他の自治体でも聞いたことがないです。
私については、人事担当課から、「やってみないか」とお声掛けいただいたのがきっかけでした。私自身、CfJやシビックテック自体を熟知していたわけではなかったのですが、未知の世界に飛び込み、いつもと違う働き方にチャレンジするのはやりがいがありそうです。自分の経験を小田原市に持ち帰ることにも意味があるのではと考え、引き受けることにしました。
notion image

—— 小田原市の働き方とはどういったものなのでしょうか?

自治体の基本的な働き方に近いと思いますが、8時30分から17時15分という定刻があり、週5日庁舎に出勤して働いていました。コロナ禍で自治体もリモートワーク普及に向けたチャレンジをしましたが、適応が難しい業務も多く、普及するにはハードルが高いものがあると感じています。また、フィールドは行政区域に限られるので、市内で市民に寄与する活動が大半です。
CfJのスタッフのように全国各地を行脚しながら地域のチェンジメイカーと協働していくような経験は、自治体の業務とは環境もサービスを提供する相手も全く違うので難しいところはあります。しかし派遣期間中に複数のプロジェクトを通して、こういった経験ができるのであれば、今後の自分の糧になるのではと感じています。他にも、リモートワークを主にして、全国津々浦々、海外にもスタッフが点在している中での働き方を学ぶことで、派遣が満了した際にどんな働き方が行政だったらできるだろうか、どうやったら価値を生み出すことができるかを考えたいです。
notion image

——CfJで働いてみて、小田原市とどんな違いを感じていますか?

1つ目は、プロジェクトに対する捉え方です。
自治体職員(委託側)の視点ではなく、協働するパートナー(受託側)の視点に立てることは貴重な経験だと感じています。例えば、オープンデータの利活用に関わるプロジェクトがあったとすると、自治体側はまずデータを整えたり、公開したりするための準備を想定してオープンデータについて考えます。データを出す側としての用意はしますが、分析やサービス開発など、活用されるシーンや具体的な使い方が想定しきれていないことも少なくありません。CfJはデータを使ってサービス開発をする側の企業ともまた異なる中立的な立ち位置です。なので、データを出す側と受け取る側の両方をみながら「どうすれば、どこを変えれば循環しやすくなるのか」みたいな視点で関わることで、同じ事柄でも違った目線からみることができ、勉強になっています。
2つ目は、組織としてのルールやカルチャーです。
自治体の仕事では緻密に、本当に細かいところまで徹底してルールが決められています。これが組織体制に合ったやり方なんだろうとも感じていますが、ルールを守っていくことや、属人的にならないように業務や案件が特定の人に集中しないことや、誰でもできるようにといったことが大切になります。また、細かいプロセスを経て物事を決める必要があるため、一つ一つ慎重に判断していくことが結構あります。働いている個々人よりも組織としての動き方に比重があります。CfJは全く対照的というか、社内Wikiのように職員同士が書き込みながらアップデートしているナレッジの蓄積・共有はありますが、個別の事象やプロセスに関してはフレキシブルに対応していく風土があります。また、個々人の持ち合わせているスキルを活かした取り組みが多く、イベント運営やオンライン配信など職人芸の域に達している人たちが本来の業務スキル以外の技も組み合わせて動いていたりして、個性を活かした動き方が多いように感じます。
3つ目は、意思決定プロセスです。
自治体業務は、決裁の手順が明確にあり、例えば「外部にこれを1つ郵送したい」という事柄に対して、事前に所属長から承認をもらっておくなど、細かい事務にも一つずつ手順があります。事前の確認や事後の報告などが積み重なっている環境で働いていたので、自分だけで意思決定が完結するということはほとんどありませんでした。CfJでは、ビジョンや共通認識を確認するための対話の機会やワークショップなどは行いますし、プロジェクトのキックオフと振り返りはきちんと確認をします。しかしプロジェクト自体については担当している一人一人に任されているので、何かを始めるも進めるも自分に委ねられていて、良くも悪くも自分次第なところがあります。「本当に決めてしまっていいのかな。大丈夫かな。」と躊躇してしまうこともありますが、個々の強みを活かして推進していくところが本当にいいところだし、CfJの特徴でもあるなと思っています。
notion image

——これまでに携わったプロジェクトについて教えてください。

プロジェクトメンバーとして参画したものは主に2つです。
1つ目はProject PLATEAU(プラトー)のまちづくりDX研修を担当しました。
Project PLATEAUとは、国土交通省が進める全国の3D都市モデルを整備し、そのオープンデータ化を進めるプロジェクトです。CfJは、このProject PLATEAUの一環として、自治体職員が3D都市モデルをはじめとするまちづくりに関するデータを扱い、まちづくりDXの業務に役立てていくための知識やスキルを身に着けるため、2023年度は4つの自治体に研修プログラムを提供しました。このプロジェクトでは、それぞれの自治体に出向く機会も多く、各自治体の職員の方々と交流する機会もありました。研修は、各自治体で5日間の集合研修と、各回の研修の間に参加者へのオンライン個別支援を行うプログラムとなっており、参加者の身近な業務課題のBPRから、3D都市モデルを使ったハンズオン研修、EBPMの基礎として、データを用いた課題解決やストーリーテリングのトレーニングを行うなど、かなり専門的な内容も盛り込まれています。私自身、多くのデータを触りながら、データクレンジングや研修で扱うプロジェクト作成など実践的な作業をしながら、研修進行の補助や自治体との連絡調整などのロジ周りを担当しました。

2つ目は、都知事杯オープンデータ・ハッカソンのプロジェクトです。

都知事杯オープンデータ・ハッカソンとは、東京都が主催しているハッカソンイベントで、2023年度と2024年度はCfJが運営しています。東京都のオープンデータを活用して、行政課題の解決に向けたデジタルサービスの提案を行う取り組みで、2023年度は71作品がファーストステージに提出され、ファイナルステージでは18の発表がありました。私は主に、ハッカソンで生まれたプロジェクトを社会実装という形で世に出すための伴走支援として、定期的な個別相談会や勉強会の開催や、各種イベントの運営補助、時には司会を務めるなど、さまざまな経験をさせていただきました。

——自治体からの出向を希望する方に向けてメッセージをお願いします。

とりあえずチャレンジしてみようかな、やってみようかなと動ける人がいいなと思います。
CfJでは手をあげたらあげた分だけプロジェクトに参加ができます。短い期間で何かを得るためには、自分で動くことが大事です。
また、CfJでは、自治体との取り組みのほか、研究機関との共同開発、ハッカソンなどのイベント、海外連携など、色々な種類の仕事に触れることができます。短い期間で派遣元に持ち帰る経験を積んでいくには「やってみよう」と主体的に参加していくことや、場合によっては自分が立案者になってゼロから生み出していくことも大事だなと実感しています。自治体職員の中でも、前のめりになれる方が合っているかなと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

ともに考え、

ともにつくる。

Code for Japan Logo

活動

シビックテックプロジェクトCivictech Challenge Cup U-22Civictech Accelerator Program (CAP)DecidimMake our City

団体概要

コミュニティ

Slackワークスペースについて Notionコミュニティ・ポータルについてイベント情報

SNS

© Code for Japan

情報セキュリティについてプライバシーポリシーCode of Conduct

© Code for Japan